地山謙(ちざんけん)の意味
山が地の下に身を沈める、へりくだりの徳。易の第15卦「地山謙」は、上に坤(地)、下に艮(山)を重ねた卦です。キーワードは「謙虚」「ならす」「最後に実る」。卦辞と大象の書き下し、恋愛・仕事など11のテーマ、6本の爻の読み方をまとめました。
1地山謙の意味
動き方:進んでよい
地山謙は、へりくだることの力を説く卦です。高い山があえて地の下に入るように、実力のある人が自分を低く置くと、物事はよく通じます。卦辞の「君子は終り有り」は、謙虚な人は始めだけでなく最後まで良い形でまとめられる、という意味です。大象は、多いところから減らして少ないところに足し、物の重さを量って公平に配れと教えます。六つの爻のどれにも悪い言葉がない、珍しい卦でもあります。自分を誇らず、偏りをならす姿勢が、周りの信頼と長続きする実りを呼びます。
上に地、下に山。本来は高くそびえる山が、平らな大地の下に身を沈めています。力を持ちながらそれを見せず、なだらかな野の下に頂を隠している、落ち着いた控えめな景色です。
実力や実績がありながら、表には出さずに働いている状況かもしれません。あるいは、自分ばかりが目立っていないか、取り分が偏っていないかを見直す時が来ています。地道さが評価に変わる手前です。
心がけ:手柄を語るより、黙って仕事の質で示しましょう。多く持つところから少ないところへ分け、偏りをならすこと。へりくだりは卑屈とは違います。芯は保ったまま、腰を低くするのがこの卦の心です。
易の言葉は短く、読み方に幅があります。出た卦を今の状況にどう当てはめるか迷うときは、占い師に直接たずねてみるのもひとつの方法です。
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広告を含みます2卦辞と大象
卦辞は、この卦全体について『易経』が述べた言葉です。大象は、上下の卦の姿から「人はどうふるまうとよいか」を説いた言葉です。
通じる。へりくだる心を持つ立派な人は、物事を最後までよく成し遂げ、良い結末を得られる。
3テーマ別の読み方
地山謙が出たときの、問いのテーマごとの読み方です。
4六爻(変爻)の読み方
略筮法などで「変わる爻」が出たときは、その爻の言葉をいちばん具体的な助言として読みます。爻は下から初爻・二爻…上爻と数え、陽の爻は「九」、陰の爻は「六」で呼びます。
謙謙たる君子、用て大川を渉る。吉。
どこまでもへりくだる立派な人は、その姿勢で大きな川を渡るような難事も越えられる。吉。
占いでは:謙虚さの始まりで、まだ低い位置にいる時です。慎みを重ねる姿勢そのものが力になり、大きな課題にも挑めます。自分を小さく見せることを恐れず、丁寧に一歩を踏み出しましょう。
この爻が変わると之卦は 第36卦 地火明夷
鳴謙す。貞にして吉。
謙虚さが自然と外にあらわれ、評判となって響く。正しさを守れば吉。
占いでは:内に持っていた謙虚さが、言葉や態度ににじみ出て人に伝わる時です。良い評判が立ちやすいので、それに浮かれず、これまで通りの誠実さを貫けば吉を得られます。
この爻が変わると之卦は 第46卦 地風升
労謙す。君子終り有り、吉。
苦労して功を立てながら、なおへりくだる。立派な人は最後までよく成し遂げ、吉。
占いでは:この卦でただひとつの陽で、実際に汗をかいて成果を出している中心の位置です。働きを誇らずに続ければ、多くの人がついてきて、最後まで良い形で成し遂げられます。
この爻が変わると之卦は 第2卦 坤為地
利ろしからざる无し。謙を撝う。
何事もうまくいく。へりくだりをさらに広く発揮する。
占いでは:上と下の間に立ち、謙虚さを周りにまで広げる位置です。自分が控えめにするだけでなく、周りの人も立てて調整役を担えば、どの方向へ動いても物事がうまく運びます。
この爻が変わると之卦は 第62卦 雷山小過
富めりとせずして其の隣と以にす。用て侵伐するに利ろし。利ろしからざる无し。
自分だけで富もうとせず、隣人と共にある。従わない者を正すのにもよく、うまくいかないことはない。
占いでは:上に立つ者として、分かち合いと決断の両方が求められる時です。ふだん謙虚であるからこそ、筋の通らないことにはきっぱり対処してよく、その強さも周りに受け入れられます。
この爻が変わると之卦は 第39卦 水山蹇
鳴謙す。用て師を行り邑国を征するに利ろし。
謙虚さで名が響いている。その信望を用いて兵を動かし、自分の領地を正すのがよい。
占いでは:謙虚さが行き着いた最後の段階です。人に向けての遠慮はもう十分なので、その信用を使って、身内や自分自身の乱れを正す方へ力を向けるとよい時です。足元を整えましょう。
この爻が変わると之卦は 第52卦 艮為山
5関係する卦
易では、ひとつの卦を別の角度から見るために、形を変えた卦を合わせて読むことがあります。
6よくある質問
Q. 地山謙は良い卦ですか?
A. はい、六つの爻すべてに悪い言葉がない、易の中でも珍しい良い卦です。ただし「謙虚であれば」という条件つきの吉です。自分を誇らず、周りとの偏りをならす姿勢を保てば、最後に良い実りがあります。
Q. 仕事で地山謙が出たら?
A. 目立つより、陰で支える働きが評価される時です。手柄を譲り、仕事の偏りを整える役を引き受けると、信頼が深まり任される範囲が広がります。遠慮しすぎず、言うべきことは穏やかに伝えましょう。
Q. 地山謙の読み方は?
A. 「ちざんけん」と読みます。易の64卦の第15番目の卦で、上の卦が坤(地)、下の卦が艮(山)です。短く「謙」とも呼びます。
易占いは、気持ちを整理し、動き方を考えるための読み物として楽しむもので、未来を決めるものではありません。卦辞・爻辞・大象は古典『周易』(易経)の本文を書き下したもので、現代語訳と占いの読みはこのサイトで書いたものです。最終更新日:2026年10月22日/この記事の作成方針について
