艮為山(ごんいさん)の意味
山が重なるように、どっしり止まる卦。易の第52卦「艮為山」は、上に艮(山)、下に艮(山)を重ねた卦です。キーワードは「立ち止まる」「持ち場を守る」「心を静める」。卦辞と大象の書き下し、恋愛・仕事など11のテーマ、6本の爻の読み方をまとめました。
1艮為山の意味
動き方:待つ
艮は「とまる」を表し、山が二つ重なった卦です。動くべきでない時にきちんと止まることの大切さを説いています。卦辞の「背中に止まる」とは、目や口のように外へ向かって欲を起こす部分ではなく、何も見ない背中に心を置くという意味です。周りの人や物に心を奪われず、静かに自分を保てば咎めはありません。大象は、考えることが自分の立場を越えないようにせよと教えます。あれこれ手を広げず、持ち場に集中する時期です。止まることは後退ではなく、次に動くための力をためる大切な準備になります。
山の向こうにまた山が連なり、どちらもどっしりと動かない景色です。風が吹いても雲が流れても、山は姿を変えません。重なる峰が行く手をさえぎり、今は越えるより腰を下ろして眺める時だと告げています。
物事が思うように動かず、足止めされているように感じているかもしれません。気持ちばかりが先に行き、周りの動きに心を乱されやすい状態です。けれど今は、無理に進んでも山に行く手を阻まれる時期にあたります。
心がけ:新しいことに手を出すより、今の持ち場を丁寧に守りましょう。人と比べたり、先のことを考えすぎたりすると心が騒ぎます。静かに座る時間や、口数を控える日をつくると、次に動く方向が自然と見えてきます。
易の言葉は短く、読み方に幅があります。出た卦を今の状況にどう当てはめるか迷うときは、占い師に直接たずねてみるのもひとつの方法です。
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広告を含みます2卦辞と大象
卦辞は、この卦全体について『易経』が述べた言葉です。大象は、上下の卦の姿から「人はどうふるまうとよいか」を説いた言葉です。
背中のところで止まり、自分の体のことにとらわれません。庭を歩いても人の姿が目に入りません。こうしていれば咎めはありません。
3テーマ別の読み方
艮為山が出たときの、問いのテーマごとの読み方です。
4六爻(変爻)の読み方
略筮法などで「変わる爻」が出たときは、その爻の言葉をいちばん具体的な助言として読みます。爻は下から初爻・二爻…上爻と数え、陽の爻は「九」、陰の爻は「六」で呼びます。
其の趾に艮まる。咎无し。永く貞しきに利ろし。
足先のところで止まります。咎めはありません。長く正しさを守るのがよいです。
占いでは:動き出す前の、まだ足先の段階で止まれる時です。踏み出す前に気づけたのは幸運と言えます。今は出発を見送り、準備と様子見に徹しましょう。この慎重さを長く保つことが、後の安定につながります。
この爻が変わると之卦は 第22卦 山火賁
其の腓に艮まる。其の随うを拯わず、其の心快からず。
ふくらはぎで止まります。従う相手を救えず、心は晴れません。
占いでは:自分は止まるべきだと分かっていても、周りの流れを止められず、もどかしさを抱える時です。人の行動まで変えることはできません。気持ちが晴れなくても、自分の線引きだけは守っておきましょう。
この爻が変わると之卦は 第18卦 山風蠱
其の限に艮まり、其の夤を列く。厲うくして心を熏く。
腰のところで無理に止め、背の肉が裂けるようです。危うく、心が焦げつくように苦しみます。
占いでは:止まり方が強引すぎて、心と体に無理がかかっている状態です。我慢で押さえつけると、内側から焦りが噴き出します。完全に止めるのではなく、少しずつ力を抜いて、ほどよい加減を探しましょう。
この爻が変わると之卦は 第23卦 山地剥
其の身に艮まる。咎无し。
体の中心で止まります。咎めはありません。
占いでは:自分自身をしっかり抑えられる時です。欲や焦りに振り回されず、静かに身を保っていられます。大きな成果は求めず、自分を整えることに力を注げば、問題は起こりません。
この爻が変わると之卦は 第56卦 火山旅
其の輔に艮まる。言うこと序有り、悔亡ぶ。
口もとで止めて、言葉に順序を持たせます。後悔は消えます。
占いでは:言葉を慎むことで運が開ける時です。思ったことをすぐ口にせず、一度飲みこんでから順序立てて話しましょう。余計な一言を控えるだけで、誤解やもめごとはぐっと減り、信頼が積み上がります。
この爻が変わると之卦は 第53卦 風山漸
艮まるに敦し。吉。
手厚く、どっしりと構えて止まります。吉です。
占いでは:止まることを最後までやり遂げた、成熟の位置です。どんな誘いや揺さぶりにも動じない落ち着きが、周りから厚い信頼を集めます。山のように構えていれば、物事はおのずと良い方へ収まります。
この爻が変わると之卦は 第15卦 地山謙
5関係する卦
易では、ひとつの卦を別の角度から見るために、形を変えた卦を合わせて読むことがあります。
6よくある質問
Q. 艮為山は悪い卦ですか?
A. 悪い卦ではありません。動くべきでない時に止まることの大切さを教える卦です。新しい挑戦には向きませんが、持ち場を守り、心を静めていれば咎めはありません。止まる時間が、次に動く力を育てます。
Q. 艮為山が出たら何をすればいい?
A. 新しいことを始めるのは控え、今の務めや暮らしを丁寧に守りましょう。考えを自分の持ち場の外へ広げすぎないことです。静かに過ごす時間を持つと、焦りが落ち着き、次の一手が見えてきます。
Q. 艮為山の読み方は?
A. 「ごんいさん」と読みます。易の64卦の第52番目の卦で、上の卦が艮(山)、下の卦が艮(山)です。短く「艮」とも呼びます。
易占いは、気持ちを整理し、動き方を考えるための読み物として楽しむもので、未来を決めるものではありません。卦辞・爻辞・大象は古典『周易』(易経)の本文を書き下したもので、現代語訳と占いの読みはこのサイトで書いたものです。最終更新日:2026年10月22日/この記事の作成方針について
