天山遯(てんざんとん)の意味|易占い 第33卦 恋愛・仕事と六爻の読み方
易占い 第33卦

天山遯(てんざんとん)の意味

山を残して天が遠ざかる、上手な引き際。易の第33卦「天山遯」は、上に乾(天)、下に艮(山)を重ねた卦です。キーワードは「退く」「身を守る」「引き際」。卦辞と大象の書き下し、恋愛・仕事など11のテーマ、6本の爻の読み方をまとめました。

1天山遯の意味

動き方:守りに徹する

遯は「のがれる」「退く」という意味の卦です。陰の勢いが下から伸び、陽が次第に押し上げられている状況を表します。卦辞が「退くことで通じる」と述べるのは、退くことが逃げではなく、身を守り力を残すための賢い選択だからです。大象は、つまらない相手から距離を取り、憎まずに、しかし毅然と接せよと説きます。争って消耗するより、静かに身を引いて次の機会に備えること。爻辞は、遅れて退くほど危うく、気持ちよく早めに退くほど吉だと語ります。引き際を見極めるのがこの卦の知恵です。

卦の形
山がせり上がってくるにつれて、天が少しずつ遠く離れていく姿です。下から陰が二本伸びてきて、陽を押し上げています。迫る勢いとぶつかり合わず、すっと距離を取る天の身のこなしが描かれています。
いまの状況
周りの状況や人間関係に、自分の力ではどうにもならない流れが生まれています。正面から立ち向かうほど消耗する予感があり、ここに居続けるべきか迷っているのではないでしょうか。踏みとどまる理由が薄れ始めています。

心がけ:勝ち負けにこだわらず、いったん距離を取る選択を前向きに考えましょう。去り際は感情的にならず、礼儀正しく。退いた先で力を蓄えれば、再び進む時はやって来ます。

易の答えを、自分の悩みに当てはめたいときは

易の言葉は短く、読み方に幅があります。出た卦を今の状況にどう当てはめるか迷うときは、占い師に直接たずねてみるのもひとつの方法です。

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2卦辞と大象

卦辞は、この卦全体について『易経』が述べた言葉です。大象は、上下の卦の姿から「人はどうふるまうとよいか」を説いた言葉です。

卦辞(書き下し)亨る。小しく貞しきに利ろし。

退くことで通じます。小さな事であれば、正しさを守っていくのがよいのです。

大象(書き下し)天の下に山有るは遯なり。君子以て小人を遠ざけ、悪まずして厳しくす。

3テーマ別の読み方

天山遯が出たときの、問いのテーマごとの読み方です。

恋愛相手との間に距離を置くとよい時です。追いかけるほど関係がこじれる流れなので、少し離れて冷静に。合わない相手なら、憎まずにきれいに別れることが次の縁を呼びます。
結婚・縁談今は話を進めるより、いったん保留にするのが賢明です。違和感がある縁談は、角を立てずに断って構いません。時間を置いて改めて考えると、本当に必要な縁が見えてきます。
仕事撤退や縮小の判断が功を奏す時です。見込みのない案件からは早めに手を引き、守るべき業務に力を集中して。退職や異動を考えているなら、円満に去る準備を進めておきましょう。
お金損失が広がる前に手を引く判断が大切です。下がり続ける投資や、出口の見えない出費は思い切って整理を。新たな勝負より、守りの資金管理を固めることが財運を保ちます。
健康無理を重ねず、休むことを優先したい時です。忙しい場から一時的に離れて、静かな環境で心身を整えてください。気になる症状があれば、我慢せずに医療機関へ相談しましょう。
人間関係相性の悪い人や、悪い影響を与える人とは距離を取って。相手を責めたり悪く言ったりせず、礼儀正しく線を引くことが大切です。離れることで、関係がかえって穏やかになることも。
願い事今は願いを押し通すより、いったん下がって時機を待つ時です。目標を手放すのではなく、守りながら温めておくと考えて。条件が整えば、身軽になった分だけ動きやすくなります。
待ち人相手が遠ざかっていく流れで、すぐには来ない見込みです。追いかけると、さらに距離が開きます。こちらも自分の生活に意識を向け、相手の事情が落ち着くのを待ちましょう。
失せ物遠くへ持ち出されたか、奥まった場所に隠れていそうです。山のように積まれた物の向こう側や、人目につかない部屋の隅を探して。見つからなければ、いったん諦めると出てくることも。
試験・勉強苦手分野に固執せず、得点できる範囲に力を移すのが得策です。志望校の見直しや、受験時期をずらす選択も前向きに検討を。退いて立て直すほうが結果的に伸びます。
引っ越し・旅行今いる環境から離れることに良い意味がある時です。騒がしい場所から静かな土地への引っ越しや、日常を離れる旅は心身を休めます。ただし逃げるような急な決断は避けて。

4六爻(変爻)の読み方

略筮法などで「変わる爻」が出たときは、その爻の言葉をいちばん具体的な助言として読みます。爻は下から初爻・二爻…上爻と数え、陽の爻は「九」、陰の爻は「六」で呼びます。

初六初爻

遯るるに尾たり。厲うし。往く攸有るに用うる勿かれ。

退く列の最後尾に取り残されて危ういです。どこかへ進もうとしてはいけません。

占いでは:退くのが遅れて、取り残されそうな位置にいます。ここで慌てて動き回ると目立って危険です。いったん身を低くし、新しい行動は控えてください。じっとしていれば、やり過ごせる状況です。

この爻が変わると之卦は 第13卦 天火同人

六二二爻

之を執うるに黄牛の革を用う。之を説くに勝うる莫し。

黄色い牛の革の紐でしっかりと縛ります。誰もほどくことはできません。

占いでは:周りが離れていく中でも、固い意志で守るべきものにつながっている時です。信頼する人や大切な約束を、牛革の紐のようにしっかり結んでおいてください。その結びつきが簡単には切れない支えになります。

この爻が変わると之卦は 第44卦 天風姤

九三三爻

係れる遯。疾有りて厲うし。臣妾を畜えば吉。

未練に引っかかって退ききれず、苦しみがあり危ういです。身近な使用人を養うような小さな事なら吉です。

占いでは:情や未練が残り、すっきりと退けずにいる状態です。中途半端な居残りは心身を疲れさせます。大きな決断は避け、身近な人の世話や小さな務めに専念すると吉。区切りをつける日を決めておきましょう。

この爻が変わると之卦は 第12卦 天地否

九四四爻

好めども遯る。君子は吉、小人は否ず。

好んでいるものからも、あえて退きます。立派な人には吉ですが、心の小さい人にはできません。

占いでは:居心地のよい場所や好きな人から、あえて離れる決断が求められます。未練を断ち切れる人には良い結果が待っています。名残惜しくても、先を見て判断してください。その潔さが評価されます。

この爻が変わると之卦は 第53卦 風山漸

九五五爻

嘉く遯る。貞にして吉。

見事な、ほめられる形で退きます。正しさを守って吉です。

占いでは:退くタイミングと方法が、最もよく整っている時です。周りから惜しまれながら、円満に身を引けます。去り際の言葉や引き継ぎを丁寧にすると、後に良い縁として返ってきます。

この爻が変わると之卦は 第56卦 火山旅

上九上爻

肥かに遯る。利ろしからざる无し。

ゆったりと余裕をもって退きます。何をしても差しさわりはありません。

占いでは:しがらみから完全に離れ、心に余裕を持って身を引ける段階です。肩の荷を下ろし、自由な立場で新しい生き方を楽しんでください。引退や独立、心機一転の決断にも明るい流れがあります。

この爻が変わると之卦は 第31卦 沢山咸

5関係する卦

易では、ひとつの卦を別の角度から見るために、形を変えた卦を合わせて読むことがあります。

6よくある質問

Q. 天山遯は悪い卦ですか?

A. 退くことを表す卦ですが、悪い卦とは言い切れません。卦辞は「退くことで通じる」とあり、上手に身を引くことで身を守り、力を残せると教えます。争いから距離を取り、次の機会に備えるという前向きな退却の卦です。

Q. 仕事で天山遯が出たら転職すべき?

A. 今の場所から離れる流れを示すので、転職や異動を考えるきっかけにはなります。ただ大切なのは去り方です。感情的に飛び出さず、引き継ぎを丁寧にして円満に退くこと。早めに準備を進めるほど、良い形で次へ移れます。

Q. 天山遯の読み方は?

A. 「てんざんとん」と読みます。易の64卦の第33番目の卦で、上の卦が乾(天)、下の卦が艮(山)です。短く「遯」とも呼びます。

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易占いは、気持ちを整理し、動き方を考えるための読み物として楽しむもので、未来を決めるものではありません。卦辞・爻辞・大象は古典『周易』(易経)の本文を書き下したもので、現代語訳と占いの読みはこのサイトで書いたものです。最終更新日:2026年10月22日/この記事の作成方針について