地沢臨(ちたくりん)の意味
沢をのぞむ岸辺に、春の気配が近づく。易の第19卦「地沢臨」は、上に坤(地)、下に兌(沢)を重ねた卦です。キーワードは「近づく春」「のぞむ」「勢いの上り坂」。卦辞と大象の書き下し、恋愛・仕事など11のテーマ、6本の爻の読み方をまとめました。
1地沢臨の意味
動き方:進んでよい
地沢臨は、下から二つの陽が力強く伸びてきて、物事が盛んになっていく卦です。「臨」は、上の者が下へ臨む、つまり人や物事に近づき、親しく向き合うことを意味します。卦辞は大いに通じると言い、勢いのある時を示します。ただ同時に「八月に至りて凶有り」と、勢いはいつまでも続かないと先回りして戒めています。大象は、教え導く思いを尽きることなく持ち、人々を限りなく包みこめと説きます。上り調子の今こそ、相手の立場に寄り添い、下り坂に備えて足場を固めておくと、良い流れを長く保てます。
上に地、下に沢。岸の高みから水をたたえた沢を見下ろし、その恵みを受けとめている形です。冬至を過ぎて日が少しずつ長くなり、凍った岸辺に春の光が近づいてくる、上り坂の景色です。
物事が伸び始め、追い風を感じる時です。新しい役目を任されたり、人を導く立場に近づいたりしているかもしれません。周りの人たちも、あなたからの働きかけを心待ちにしている状態にあります。
心がけ:勢いのある今のうちに、積極的に人や物事に関わりましょう。上から押しつけず、相手に寄り添って導くこと。好調は永遠ではないと心得て、下り坂に入ったときの備えも今から少しずつ用意しておくと安心です。
易の言葉は短く、読み方に幅があります。出た卦を今の状況にどう当てはめるか迷うときは、占い師に直接たずねてみるのもひとつの方法です。
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広告を含みます2卦辞と大象
卦辞は、この卦全体について『易経』が述べた言葉です。大象は、上下の卦の姿から「人はどうふるまうとよいか」を説いた言葉です。
大いに通じる。正しさを守るのがよい。ただし八月に至ると、勢いが衰えて凶がある。
3テーマ別の読み方
地沢臨が出たときの、問いのテーマごとの読み方です。
4六爻(変爻)の読み方
略筮法などで「変わる爻」が出たときは、その爻の言葉をいちばん具体的な助言として読みます。爻は下から初爻・二爻…上爻と数え、陽の爻は「九」、陰の爻は「六」で呼びます。
咸じて臨む。貞にして吉。
互いに感じ合いながら物事に向かう。正しさを守れば吉。
占いでは:上り坂の始まりで、まだ若い力が動き出した時です。相手と心を通わせて関わると、思いが自然に伝わります。正しい姿勢を崩さずにいれば、良い流れをつかめます。
この爻が変わると之卦は 第7卦 地水師
咸じて臨む。吉にして利ろしからざる无し。
心を通わせて人や物事に臨む。吉であり、何に向かっても利がある。
占いでは:力が十分に育ち、周りとの心の通い合いも深まった時です。上の人とも下の人ともよく響き合い、何に取り組んでもうまく運びます。積極的に働きかけてよい場面です。
この爻が変わると之卦は 第24卦 地雷復
甘くして臨む。利ろしき攸无し。既に之を憂うれば咎无し。
甘い言葉や口先だけで人に臨む。得るものはない。だがそれに気づいて憂い改めれば、とがめはない。
占いでは:耳ざわりの良いことを言って、楽に人を動かそうとしてしまう時です。中身の伴わない甘さは見抜かれます。気づいて反省し、行動で示すように改めれば立て直せます。
この爻が変わると之卦は 第11卦 地天泰
至りて臨む。咎无し。
自ら下の者のもとへ出向いて臨む。とがめはない。
占いでは:立場の違う相手のところへ、自分から足を運ぶ時です。待っているより、出向いて直接向き合うことで信頼が生まれます。誠実に関わり続ければ、大きな問題は起こりません。
この爻が変わると之卦は 第54卦 雷沢帰妹
知りて臨む。大君の宜しきなり、吉。
知恵をもって人に臨む。それこそが立派な君主にふさわしいあり方で、吉。
占いでは:人を導く立場に立ち、知恵が求められる時です。すべて自分でやろうとせず、有能な人に任せるのが賢いやり方です。人を見る目と任せる度量が、良い結果を生みます。
この爻が変わると之卦は 第60卦 水沢節
敦くして臨む。吉にして咎无し。
手厚く真心をこめて人に臨む。吉で、とがめはない。
占いでは:勢いが頂点に来た最後の位置で、温かく厚みのある関わりが求められます。立場が上がっても下の人を見捨てず、手厚く面倒を見ることで、好調を穏やかに締めくくれます。
この爻が変わると之卦は 第41卦 山沢損
5関係する卦
易では、ひとつの卦を別の角度から見るために、形を変えた卦を合わせて読むことがあります。
6よくある質問
Q. 地沢臨は良い卦ですか?
A. 勢いが伸びていく上り調子の、基本的に良い卦です。積極的に人や物事に関わると、大いに通じます。ただ卦辞は「八月に凶」と、好調は続かないとも戒めています。今のうちに備えておくことが大切です。
Q. 地沢臨の「八月に凶有り」とは?
A. 今は勢いがあっても、時が移ればやがて衰える、という先回りの戒めです。具体的な月を恐れるというより、好調のうちに次の下り坂に備えて足場を固めておきなさい、と受け取るとよいでしょう。
Q. 地沢臨の読み方は?
A. 「ちたくりん」と読みます。易の64卦の第19番目の卦で、上の卦が坤(地)、下の卦が兌(沢)です。短く「臨」とも呼びます。
易占いは、気持ちを整理し、動き方を考えるための読み物として楽しむもので、未来を決めるものではありません。卦辞・爻辞・大象は古典『周易』(易経)の本文を書き下したもので、現代語訳と占いの読みはこのサイトで書いたものです。最終更新日:2026年10月22日/この記事の作成方針について
