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ナクシャトラ — 27に等分された月の道
13度20分という均等な区画。恒星で区切る中国の宿とは原理が違う。
ナクシャトラは、インド占星術と天文学で使われる27もしくは28の星宿です。インド神話では、ダクシャの娘とされ、月神ソーマの妃とされます。この記事では、その構造と、中国の二十八宿との関係を扱います。
天球を27に等分する
ナクシャトラは、黄道を、インド占星術上の基点から等分に27分割したものです(月はこの黄道の近くを通ります)。すなわち一宿あたり13度20分に細分化された区画です。
13度20分というのは、360度を27で割った値です。きりの良い数字ではありませんが、均等に割るという原理から必然的に決まります。
月が1日1宿を進む
この27という数は、月の公転周期に由来します。月の恒星月(月の恒星に対する公転周期)は27.32日です。月は1日ごとに1つの宿を通過し、1恒星月でひとめぐりする、という想定が成り立ちます。
この27区分は、毎日その一つの区分を月が通過することから、月の27星宿(あるいは宿曜)と呼ばれます。月の位置を示すための目印として作られた区分です。
中国の二十八宿との違い
類似のものとして中国の二十八宿があります。名前が似ているため同じ起源と考えられがちですが、そうは考えられていません。
| 比較項目 | ナクシャトラ | 中国の二十八宿 |
|---|---|---|
| 数 | 27もしくは28 | 28 |
| 分け方 | 黄道を等分(13度20分) | 実際の恒星で区分 |
| 区画の広さ | 均等 | 不均等 |
| 最古の例の一致 | 一致する恒星は7つのみ | 同左 |
| 実際の恒星との関係 | 理念的 | 実際の恒星に基づく |
決定的なのは、相互の最古の例を比較すると一致している恒星が7つしかないという点です。このため、同一起源だとは考えられていません。また、中国の二十八宿は実際の恒星で区分されているため広さが不均等であるのに対し、ナクシャトラは均等に分割されているので、実際の恒星との関係は理念的なものになっています。
漢訳のときに起きたこと
インド占星術を漢訳した『宿曜経』では、ナクシャトラを漢字にする際に既存の二十八宿を当てました。このため、中国古来の二十八宿とは見た目が紛らわしいが本来は別のもの、という状態になりました。このとき牛宿を除いて二十七宿としています。
また、インド占星術ではもともと28宿の一つだったアビジット(Abhijit、牛宿に相当)を後に外して27宿としましたが、通常のナクシャトラとは別扱いになっています。名前の借用が、双方向で起きているわけです。
何に使うのか
- 出生占星術
- 性格や相性を読む。ナクシャトラを応用する基本の技法。
- 択日(ムフルタ)
- 物事を行う日を選ぶ。
- ダシャーの決定
- 人生の時期を区分けする際の基準にする。
- 月の位置の表示
- 太陽系内の月の絶対的位置と、恒星と対比した位置を示す。
現在、日本語で書かれたインド占星術の本のほとんどが、ナクシャトラの内容に終始しているとされます。それだけこの区分が重視されているということです。
この記事の立場 ナクシャトラの定義、13度20分の等分割、恒星月27.32日、二十八宿との比較(一致する恒星が7つ、同一起源ではないこと、区画の原理の違い)、『宿曜経』による漢訳と二十七宿、アビジットについては、外部の資料を出典として示しています。ナクシャトラによる吉凶の効果は検証されていません。
よくある質問
27と28のどちらが正しいのですか。
流派によって多少の違いがあります。インドでは27もしくは28とされ、古い伝統に従ってアビジット(Abhijit)を加える場合がありますが、通常のナクシャトラとは別扱いです。
中国の二十八宿と同じものですか。
別のものです。最古の例で一致する恒星が7つしかなく、同一起源とは考えられていません。漢訳の際に中国の語彙を当てたため、名前が似通っています。
なぜ均等に割るのですか。
恒星による区分ではなく、黄道を等分する原理を採っているためです。その結果、実際の恒星との関係は理念的なものになります。
ナクシャトラで相性が分かりますか。
出生占星術で応用される基本的な技法とされますが、当サイトは効果を検証できていません。判断の道具としての構造を紹介するにとどめます。
まとめ
ナクシャトラは、月の通り道を27に等分した区画です。13度20分という半端な数字は、均等分割という原理から決まります。中国の二十八宿と名前が似ているのは、漢訳の際に語彙を借りたためであり、起源は別です。一致する恒星が7つしかない、という事実がその根拠です。名前の類似を起源の証拠としないこと。これが、この題材から得られる最も実用的な注意です。
この記事の立場 研究結果や暦の定義は出典を明記しています。効果の断定や、医療・健康・金銭・法律の判断を置き換えることはしません。
出典
- Wikipedia「ナクシャトラ」(13度20分の等分割、二十八宿との比較、一致する恒星が7つ、『宿曜経』と二十七宿、アビジット、応用技法)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%88%E3%83%A9(2026-09-28 取得) - 国立天文台 暦Wiki「インド暦/Naksatra」(黄道を13度20分ごとに27等分し二十七宿とも呼ぶ)
https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/A5A4A5F3A5C9CEF12FNaksatra.html(2026-09-28 取得) - アストロナイン「ナクシャトラ(星宿)」(毎日1区分を月が通過することから月の27星宿と呼ばれる)
https://www.astro9.com/Nakshatra.htm(2026-09-28 取得) - コトバンク「ナクシャトラ」(恒星月27.32日と1日1宿の想定)
https://kotobank.jp/word/%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%97%E3%82%84%E3%81%A8%E3%82%89-1382714(2026-09-28 取得)
注記 「13度20分は360度を27で割った値」という補足、および名前の類似を起源の証拠としないという結論の整理は当サイトの記述です。ナクシャトラによる吉凶の効果は検証されていません。
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